○午前 8:30~11:30
午後 16:30~19:30
●土曜日 午後 14:00~18:00
細菌性膀胱炎は、陰部や腸、皮膚などにいる常在菌が尿道を介し感染して発生することが多く、特に陰部が肛門の真下にある雌での発生が多い。
原因となる菌は、大腸菌が1番多く、他にはブドウ球菌や腸球菌などがあげられる。
症状としては、頻尿、血尿、不適切な場所での排尿があげられる。一般的に全身性の症状は認められない。排尿の異常に加えて、全身性の症状(発熱、元気消失、食欲低下、嘔吐)が認められる場合には、腎盂腎炎や前立腺膿瘍といった疾患を疑う。そのような場合は、血管内点滴や血管内への抗生物質の投与など入院下での集中的な治療が必要なケースが多い。
細菌性膀胱炎は、発生の頻度により散発性細菌性膀胱炎と反復性細菌性膀胱炎に分けられる。
散発性細菌性膀胱炎
初めての発症、年3回未満の発症
反復性細菌性膀胱炎
1年に3回以上の発症、6ヶ月の間に2回以上の発症
反復性細菌性膀胱炎は、再発、持続感染、再感染の結果発生し、以下のリスク因子が発生に関与していることが多い。
多剤耐性菌
内分泌疾患(クッシング症候群、糖尿病)
腎臓病
肥満
外陰部の形成異常
先天性の尿路異常(異所性尿管、尿膜管遺残)
前立腺疾患
膀胱腫瘍
尿路結石
免疫抑制療法
尿失禁
診断には、症状に加え尿中の細菌感染の存在を明らかにする必要があり、尿検査が必要となる。頻尿の症状が著しい膀胱炎の症例では、採尿することが難しく、最初に尿検査が実施できない場合がある。そのようなケースでは試験的に抗生物質の投与を行うこともありますが、投与後でも細菌の有無、尿石症の有無などの評価を尿検査で行う必要がある。
治療は、抗生物質の投与を行う。理想では、全ての症例に対して、尿の細菌培養検査と薬剤感受性検査を実施するべきだが、コストの面も考慮し、散発性細菌性膀胱炎には、まず尿路感染症に対して第一選択となる抗生物質を3〜5日間投薬することが最新のガイドラインで推奨されている。一般的に、抗生物質が奏効した場合には2日以内に症状の改善が認められる。症状の改善が認められない場合や反復性細菌性膀胱炎の場合は、尿の細菌培養検査と薬剤感受性検査を実施し、適切な抗生物質を選択する必要がある。また、同一菌種の持続感染や再発性感染が疑われる場合は、長期的な抗生物質の投与が必要となる。長期的な治療を行う場合は、5〜7日毎の評価と治療終了から1週後に再評価を行う。また、背景にある疾患の治療が困難な反復性細菌性膀胱炎は、コントロールが困難な場合もある。補助療法として尿のサプリメントを加えることも選択肢の1つとなる。
※無症候性細菌尿
尿に細菌が存在するが、症状がない状態を無症候性細菌尿といい、ほとんどの場合治療の必要はない。治療の必要があるのは、腎盂腎炎や全身性感染症のリスクが高い場合のみである。