動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

成長板骨折

子犬や子猫の骨の両端には「成長板」という軟骨の部位があり、成長期に骨が伸びて行く大切な部分です。
成長板はその名前の様に、骨の成長点となっていて、成長板から骨が伸びて行きます。
この成長板は成長期にしか存在せず、成長期が終わると骨に置き換わります。
犬の体格によって時期が異なりますが、小型犬では生後5〜6ヶ月齢で、大型犬では7〜8ヶ月齢で成長板は骨に置き換わります。
成長板骨折とは、この成長板が折れてしまった状態です。
成長板は他の骨よりも弱く柔らかい構造になっているので、小さな衝撃が加わっただけでも骨折してしまうことがあります。
低い段差を降りたり、飛び跳ねただけで骨折してしまうこともあるので注意が必要です。
成長板が損傷すると骨の成長が止まってしまったり、骨が曲がって伸びてしまう可能性があります。

成長板骨折の治療は、成犬・成猫の骨折の治療法とは異なるので、慎重に治療をする必要があります。
先程も述べたように骨が曲がってしまったり、短いまま成長が止まってしまうなどの合併症が起きるため、正しい治療が求められます。
成長板は骨の端部に存在するため、成長板骨折は関節の変形を招く可能性があります。
成長期の動物の骨は早く癒合するため、骨折部がズレてしまっている場合、
なるべく早期に正確な整復が必要となります。
成長板骨折は、受傷後数日以内に骨折整復手術が必要なケースが多く認められます。
手術はピンやスクリューなどのインプラントを用いて骨折部を整復する方法が高確率で採用されます。
骨折部が癒合した後に、設置したインプラントの抜去が必要になることもあります。

成長板骨折はSalter-Harris分類(ソルター・ハリス分類)という分類方法により、Ⅰ〜Ⅴ型に分類されます。
ソルター・ハリス分類は数字が上がるほど重症度が高くなります。

子犬・子猫がジャンプや転倒をして、四肢をかばって歩く・引きずっている、などの症状が認められた場合は、この成長板骨折を起こしている可能性が有るので、すぐに動物病院で受診することをお勧め致します。

2025.09.26