コラム

みどり動物病院 コラム

院長のひとりごと【サスティナブルって流行っているけれど…】
持続可能なことを考えようとか、地球を救えとか大それた話をする前に、
もっと色々身近なことを考えてみたらと思うのです。


例えば環境問題は、難しく考えなくても環(たまき)の境と考えたらどうなんでしょうね。

たまきは回る、回り続けるものの象徴、仏教で言えば輪廻転生ですね。

まさに環境はサスティナブルに取り扱うべき問題ですよね。


数十年前あるカメラマンさんの講演ですばらしい話を聞きました。

日本では死を隠す風潮があるけどここを大切にすることが環境問題にも繋がるんだということを思い出しました。

生きている物と死んだ物の境目、動物が静物になる境目に注目するともっと色々なことが見えてくると思います。


牛が屠殺されて牛肉になり、鶏が屠殺されて鶏肉になることを考えたらフードロス問題は起こらないと思うんです。

スーパーや商店に並んでいる綺麗に下調理された肉の塊、焼き鳥、魚のお刺身、キュウリ、ナスや野菜など。

みんな元々は立派に生きていた生き物だったんです。

でも私たち現代社会はこの環の境目を省略して考えているため、食物は食物で生き物とは無関係と考えてしまっているのではないのでしょうか。


「今晩牛肉を焼いて食べようか?」ではなく「牛を殺してさばいて焼いて食べようか?」

「今晩刺身を食べようか?」ではなく「今晩魚を〆てさばいて刺身にして食べようか?」

と考えると食べ残すとか捨てるなどというもったいないことは考えなくなるのではないでしょうか?


食べ物の流通経路が分担化されることで、私達は元々の食べ物の形を意識しなくなってしまったのではないでしょうか?

肉が好きな人々は一度牛や豚や鶏が肉になる過程を見学してみるのも今後生きていくうえではとても必要になってくると思います。


地球上の人口は増加し続けています。それに加え食糧生産量は等しく増加させることは難しくなってきているそうです。

遺伝子組み換え農業が世界を救うという考え方もありますが、まずは一人ひとりの考え方を見直すことが大事ではないでしょうか?

フードロスを無くすことから考え始めれば、食べ残し問題は解決するし、ちょっと曲がって規格外になったキュウリも捨てられることなく大切な食べ物として扱われるのではないかと考えてしまう今日この頃です。


豊かな世界は豊かな心で育まれていくと思います。

2022.06.02
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