動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

充血しているけど大丈夫?(犬の緑内障)

充血が認められる眼疾患は多く存在しますが、中には失明のリスクが高いものもあります。そのような眼疾患のうち、今回は犬の緑内障を簡単に紹介します。

犬の緑内障は、眼球内を循環している眼房水の流出障害による眼圧上昇が、視神経を障害する疾患群です。ご家族の方が気づきやすい症状には、白目の充血(強膜血管の怒張)、目をショボショボさせる(痛みによる眼瞼痙攣)、涙が増える(眼の痛みによる)、角膜が白く濁って見える(眼圧上昇による角膜浮腫)、元気・食欲の低下(眼の痛みによる)などがあります。早期に治療を開始しなければ視覚を喪失する可能性が高いため、上記の症状を発見した場合は、早めの受診をおすすめします。


国内では柴犬やシーズー、アメリカン・コッカースパニエルでの発生がよくみられます。 


緑内障治療の目的は、視覚の維持と眼疼痛の緩和です。視覚を維持するためには、点眼薬による内科治療(当院で可能)と、毛様体光凝固術や隅角インプラント術などの外科治療(2次診療施設で可能)があります。視覚の回復が望めない場合は、持続的な眼疼痛や角膜穿孔などの合併症を避けるため、眼球摘出術や眼内シリコン義眼挿入術(当院で可能)が適応となります。


ヒトでも動物でも緑内障は根治しない疾患であるため、できるだけ早期に治療を開始することが、視覚維持期間を伸ばす唯一の方法です。気になる眼症状があればお気軽にご相談ください。

2020.08.02